御影田





 いつの頃か 全くわからない むかしむかしの話しです。
 北の方の国から 富士のお山に向かう旅の一行がありました。
 この中にただただ富士のお山にお参りしたいという事で この一行に加わった老人が一人いましたが 途中 年寄りのため身体も思うように動かなくなり 一行より日一日と遅れてしまいました。
 やっとのことで 矢島にさしかかった時には もう力もつきはててしまい とうとう道端に倒れてしまいました。
 この老人は せっかく北国から 何日もかけて旅をしてきたのに 富士のお山へお参りできないことを くやみました。
 老人は せめてここから富士のお山を拝もうと 最後の力をふりしぼり 富士の方向に両手を合わせました。
 すると その一念が通じたのか 傍の田の水面に 目にも鮮やかな 富士のお山がくっきりと 現れました。
 老人は その姿を ありがたく拝み 満足そうな顔をしながら 息を引き取りました。
 その後 富士が現れたこの田を 地元の人達は 御影田と呼ぶようになりました。



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