行ばん上人と厄よけだんご





 地蔵寺の境内にある大きなイチョウの下にひっそりと古びたお堂がたっています。
 今から三百年程も昔のある年 くる日もくる日も雨ばかりの日が続き 水かさの増した利根川の水が土手をつきやぶり まわりじゅうを水びたしにしてしまいました。
 人々は米やイモをつくることができなくなり とてもこまっていました。
 そんなある時 この里に行ばんさまという旅のお坊さんがやってきました。
 このお坊さんは 色あせて やぶれた着物を身にまとい それはそれはつらい旅をなさっているように見えました。
 このお坊さんに 人々は 困った生活の中から かわるがわる 食べ物を持ってきて 差し上げました。
 行ばんさまは 村人の困っている様子を見て あちこちの土地をめぐり
「米やイモが豊かに育つ田や畑をつくろう」
と 里の人々に 説いてまわりました。
 人々もその教えにならって
「わしらの手でこがね色に実る稲をつくろう」
「うまいイモをたあんとつくろう」と
沼を埋め立てたり 土を盛りあげて 田んぼや畑にしていきました。
 やがて秋になり 里は前のような葦の生えた沼でなく まわりじゅう 稲が こがね色に実るようになりました。



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