どうろくじんと弁天様


  いつも道端に立っているどうろじん様は、えらい不器量で、相手にしてくれる女の人がいませんでした
 そんな不器量ですから、もちろん嫁の来てなどないのですが、それでもおれの嫁になる人は、どんな美しい人だろうと、思いをめぐらせてはいつもニヤニヤして、往来を歩いていました。
 ある日の事です。その日は朝から気分が良く
「今日おいらに声をかける女の人がいたら結婚を申し込もう」と心に決めると、うきうき夢見ごこちで村境まできました。
 すると、向こう村の弁天様がやって来て、いつものようにあいさつをしました。
 それまで、うきうきしていたどうろくじん様は、弁天様に夢中になり、美しいこの人こそ、おいらの嫁さんだと一人で勝手に決めこんでしまいました。
 それからというもの、来る日も来る日も
「おいらの嫁になってくれ、おいらの嫁になってくれ」と追いかけまわし、困った弁天様はとうとう、池の中へ逃げこんでしまいました。
 それ以来、どうろくじん様は
「いつか弁天様はここを通るだんべ」と思って、村境の道端に立って待っているようになりました。
 それからというもの、嫁入りするときは、どうろくじん様の前を通るとやきもちをやかれるので、通らないほうがいいと言い伝えられております。


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