何の用意もしていない、きなが男の家はあっさりと流されはじめました。
 この様子を見て、心配したせっかち男は「いつごろ戻るんじゃ」と聞くと、きなが男は「流れて死ぬ覚悟じゃもうこの世ではお前さんと会えないじゃろう。冥途にて待ってるぞ。サ・ラ・バ・ジャー サ・ラ・バ・ジャー」と、別れを告げフワリフワリ流されていきました。
 ところが、三里余りも流されていった所で運よく寺の森に家がひっかかり九死に一生を得ました。
 四、五日して水もひいてきたのでそこの村人から、にぎり飯をもらって元気になったきなが男は元の村に帰ってきました。
 とっくに死んだと思っていたせっかち男は、この時ばかりは大いに喜んだそうです。


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