

七月十日(旧暦)の大佐貫の観音様の縁日といえば 露店や参拝者でそれはもうたいそうなにぎわいでした。
毎年の事ながら そのにぎわいぶりは近郷近在に鳴り響いていました。この観音様は十一もの顔をもちやさしい姿をしていて地元の人から十一面観音様と呼ばれ厚い信仰をあつめていました。
毎年 この縁日になると決まって 朝早くから熱心にお参りする老夫婦がおりました。
この老夫婦は 桐生で(注釈)機屋を営んでおりました。
何一つ不自由なく暮らしていましたが ある日 突然 おばあさんが病気になり倒れてしまいました。
あちこちの医者にもみてもらいましたが いっこうに良くならず ついには医者にも見放されてしまうほどでした。
おじいさんはすっかり気落ちしてしまい 仕事も思うように はかどらなくなってしまいました。
病気の回復を願うおじいさんは 神棚に手を合わせる毎日でした。
(注釈)機屋…織物を作ってる家
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